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ミキクロウ

Author:ミキクロウ
知識のないまま、気分、駄文垂れ流し。多分でなく、自分満足と判っております。
ジャンルも文体も不安定な感じです。
読み易い、を何とか目指します。
リンク・アンリンクフリーです。

qoo-low@hotmail*co.jp
ご指摘、感想など御座いましたらお気軽にどうぞ。

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おひさま
イロくない、コバヤ視点です。


台本に一通りチェックを入れて。
テーブルに手を伸ばすと、すっかり冷え切ったマグカップがいた。

どれ位経ったのでしょう?
夢中になると、時間の経過が判らなくなってしまいます。
窓の外を見れば、お日様は未だいらっしゃるので、夜にはなっていない様ですが。

カーテンの色に、ああ、これは自分が選んだ色だ。
等と暢気に思った直ぐ後で、はっと気付く。



「野中さん!」
「なあに?」
慌てて呼ぶと、ゆっくりな声が返って来て、自分のテンションが高過ぎたのだと気付く。

大声を出してしまいました。
少し恥ずかしくなって、ちらり覗き見ると、野中さんはテレビを見てらっしゃる様でした。
クッションを抱き締め、沈み込んだソファでリモコンをパチパチしています。



「どーしたの?」
首を傾げて、こちらを伺う。

「いえ、あの、わたし夢中になっちゃってて、」
「何時もの事じゃん」
ふ、と笑った口角が上がって、にんまり。

「終わった?」
閉じた台本に視線を寄越す。
「あ、はい」




ご飯にしようか、なんて言ってから30分は過ぎたでしょうか。
何をするでもなく、二人してぼんやりテレビを見ています。

ソファに納まって。
くっついた体が温かい。
お日様は、そろそろ帰ってしまいそう。
だけれど、ここだけはぽかぽかです。

「ん?」
視線に気付いたのか、野中さんがこちらを見ます。
何でもない、と首を振ると、含んだ様なはにかむ笑顔を返される。

何となく、お互い笑い合う。



この瞬間がとても好きです。






「ゆうちゃん」
「はい?」
「ゆーちゃん」
「はい」

耳に優しい声に、つい微笑んで返してしまう。

野中さんは、これを時々余裕ぶってる、なんておっしゃいますが。
幸せを感じて零れてしまうものなので、仕方がない、と思っています。
すみません。


何時の間にか、身体は向かい合って。
床についた、小さな身体を支える小さな野中さんの手に触れたくて。
冷えた手が一瞬戸惑うけれど、やっぱり、伸ばした。


「ゆうちゃんゆうちゃんゆうちゃん」

「…はい」
握った手から彼女の体温が溢れて来て、ぽかぽかします。
至近距離の真正面で、子どもっぽく尖る唇に視線が奪われます。


「ゆぅーちゃん!」
「はい」
何度となく呼んでくれる声を、毎回違う声色を、聞き逃さない様に。
耳に刻むように、応える。





「ぎゅーってして?」
ちょうど良かったです。
抑え切れなくなる手前。


はい、と頷いて腕を引く。
ぽすん、と野中さんが胸に納まる。
顎に触れた髪から野中さんの匂いがします。
背中に回された掌が温かくて、きゅうっと心臓が締め付けられました。

嬉しい気持ちが伝わるように、柔らかく何度も野中さんを抱き締める。


「んふふ」
含み笑いで、野中さんが顔を上げた。

「ちゅーして!」
満面の笑みが、またしても心臓を締め付けます。
ぎゅうっと、呼吸から持っていかれる様な。






「あたしに、夢中になるのはまた後で、ね」

唇にキスをして額をコツン、と。
頬擦りして、どちらともなくもう一度、キス。
見詰め合って、絡まった視線、くすくす笑い。

身体を離した野中さんが、一言。


「ご飯にしよ? 最近ちゃんと食べてる?」
身体を撫でながら、痩せた?なんて聞かれてしまう。
嘘をつけない私は、苦笑して誤魔化す。
結局それで、ばれてしまうのですが。




お日様は随分前に帰られた様で。
カーテンを閉める動作に、物悲しくなった。


「野中さん、お日様みたいに温かかったです」
「んー?」
「さっき、抱き締めた時」
「あー」


パタパタと雑誌を片付けていた手を止めると、にへら、と笑って。
「お昼、日向ぼっこして充電してたんだよ」
少し得意げに、挑発的とも見れる表情で、顎を上げて。


その様があんまり可愛かったので、もう一度、
もう一度だけ、抱き締めてしまいました。



「ゆうちゃんを温められるよーにね」
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SS(あいゆう) | 07:06:14 | Trackback(0) | Comments(0)
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